私の西部での戦は滞りなく進み、予定通りの勝利は目前だった。
「リン、無理すんな。」
「わかってる。まだまだ余裕だよー。」
私は前線の少しだけ後ろで、隊の指揮を兼ねて敵を屠っていた。
体力温存作戦中のるうは、ただ淡々と私の側で私の敵になる者だけを選んで斬る。器用な人なんです。
「予想よりも早く終わるかな。」
案の定、生憎の天気で。
大粒の雨が降ってはいるものの、馬鹿げたスピード重視の戦に、みんなよく着いてきてくれていた。
少しだけ、ほっとしたのも束の間。
「姫様ッ!!!」
酷く取り乱し、絶望を匂わせる伝者の顔を見た時に、私の胸がドクンと大きな音を鳴らした。
…ああ。
間に合わなかった。
と、何が起こったのかはまだ分からないものの、ただ漠然とそう感じた。

