(一)この世界ごと愛したい





私の西部での戦は滞りなく進み、予定通りの勝利は目前だった。




「リン、無理すんな。」


「わかってる。まだまだ余裕だよー。」




私は前線の少しだけ後ろで、隊の指揮を兼ねて敵を屠っていた。


体力温存作戦中のるうは、ただ淡々と私の側で私の敵になる者だけを選んで斬る。器用な人なんです。





「予想よりも早く終わるかな。」



案の定、生憎の天気で。


大粒の雨が降ってはいるものの、馬鹿げたスピード重視の戦に、みんなよく着いてきてくれていた。




少しだけ、ほっとしたのも束の間。










「姫様ッ!!!」




酷く取り乱し、絶望を匂わせる伝者の顔を見た時に、私の胸がドクンと大きな音を鳴らした。









…ああ。


間に合わなかった。



と、何が起こったのかはまだ分からないものの、ただ漠然とそう感じた。