部屋に戻り、剣を戻す私に第三王子が声を掛ける。
「疲れてない?」
「…疲れるほどの相手はいなかったし、かなりセーブしてたんで私は全く問題ない…けど。」
「けど?」
「退屈だったよね、ごめん。」
あんなに力の差が歴然な稽古を見てたって、なんにも面白くはないだろうな。
私が悪いんじゃないけどね?
「君はかなり力の加減が上手いんだね。」
「へ?」
「広間で斬った兵たちの様子を最近見に行ったんだけど、全員既に元の生活に戻っていたよ。」
「…そっか。」
よかった。
あんな形で、やや一方的に傷付けてしまったから心配はしていた。
「あれも狙ってやったの?」
「んー、敢えて急所は外したね。あの時はまさかあんなことさせられると思ってなかったし。一斉に仕掛けられたから手元狂ってないといいなーとは思ったけど。」
「君は君なりに守ろうとしてくれたんだね。」
「そりゃあの場で斬り殺してたら私もあの阿呆王と同類になるじゃんー。」

