(一)この世界ごと愛したい





少し遠慮気味に向かって来た兵。



やっぱり気使わないわけないよね。


とは思うけども、それでは稽古にならないので適当にその剣を弾き飛ばす。



…相手にならないんですけど!?




「遠慮はいりませんので思いっきりどうぞ?」



そして次の兵次の兵と相手をしていくが、一人あたり一分もかからないのですぐ終わりそう。


…すぐ終わりすぎかも。


と不安になったのでもう一周継続することにした。



でも兵たちも徐々に慣れてきたのか、遠慮の色は徐々に薄れてきている。




「次、お願いします。」


「はい!」



もう汗だらけ泥だらけの彼らとは裏腹に、私は涼しい顔で飄々と稽古を続ける。


これではもはや練兵に近いかもだけど。



兵の疲れがピークに達したところで、私は稽古終了の声を掛けた。