まずは稽古の相手を探すため、隊舎へ案内してもらった。
第三王子と二人で歩くだけで王宮内の人からめちゃくちゃ視線を浴びて、少し不快に思うほどだったが。
もう途中から気にしないことにした。
「ここが隊舎だよ。」
「ありがとうございます。」
第三王子と共に敷地内に入ると、みんなが頭を下げて挨拶を交わしてくれる。
その中で、一人の男が声を掛けてくれた。
「レン様ご無沙汰しております。本日はいかがされましたか?」
「彼女が剣の稽古をしたいらしくて、手の空いた兵士を借りたいんだけど。」
「ひ、姫様の稽古のお相手を!?」
あたり一面、狼狽え出す男たち。
「あの、無理のない範囲で構いません。」
「し、しかし…。」
「もちろん大事な兵に傷は負わせないことはお約束いたします。」
私がそう言うと安心したのか、有り難いことにそれなりの数の人たちが名乗りをあげてくれた。
セザールも威勢のいい兵が意外といるんだね。
「姫様どうぞ!お好きなだけ連れて行ってください!」
「じゃあ希望してくださった方、全員お借りしますね。」
「え、全員!?」
「陛下に与えていただいた稽古場にお越しください。」
私はそう伝えて、第三王子と稽古場へ向かう。
稽古場で剣を抜き、兵たちの到着を待つこと数分でぞろぞろとやって来てくれた。

