「るう、行軍の足を早めてもらおう。」
「ああ。」
「念のためにるうは体力温存でよろしくね。この戦は私が前に出る。」
「スピード重視しすぎて足元掬われるなよ。」
「それは大丈夫ー。」
戦場へ向かう最中、るうと軽い打合せ。
基本私が大将として出陣する時の副将にはるうが控えてる。
これは王命で、私たちはいつも一緒に戦場へ赴く。
私の意思を汲み取るのに長けている人が側にいると確かにやりやすいし、実はすごく助かっている。
当たり前のように私たちは行軍を進めた。
今回の戦は、敵は隣国で私も数回戦ったことのある相手。結果全勝しているんだけど、厄介なのは城からの距離だ。
この国の最西部の境。
西の果てまで普通に足を運ぶだけで、二日は掛かる見込みだ。それが軍での移動となると隊士の体力も考慮してさらに時間を要する。
「戦自体は、ちょっと無理するけど一日。最低でも二日で終わらせる。」
「はぁ…。頼むから怪我はしてくれるなよ。」
「気をつけるね!」
「早く帰りたいのは分かるが、まずは目の前の一戦に集中な。お前が倒れるとそれこそ国の危機だ。」
私の頭にぽんっと手を乗せるるう。
たぶん、るうなりに私を落ち着かせようとしてくれたんだと思う。
しかし、それでも私の気持ちは急ぐだけだった。
とにかく王都が、パパが心配でならなくて。
何が起こるかなんて全く分からないけど、ただ漠然とした不安だけが私を襲っていた。

