(一)この世界ごと愛したい





「ならぬ。この国の医療技術は私のものだ。」


「先人達が命懸けで紡いで来たものです。分け隔てなく必要な者へ施すべきだと思います。」


「貴様は相変わらず喧しい。私の意見は変わらん。治療が必要ならばそれだけの金と、それに見合った対価を貰わねば商売は成り立たん。」


「医術は商売道具じゃない。」



初めて、彼が本気で怒っているように見える。




「何度も言わせるな。この国の支配者は私だ。まだ喚くなら再び牢へ送るぞ。」



急に勃発した親子喧嘩を眺め、ようやく私から話題が逸れたことに少し喜んでさえいたが。


この王の言動はやはり不愉快極まりない。




国は守るものであるが、支配するものではない。


そう思いはしても、この阿呆王にはきっと何を言っても通じなさそうだし、他国の事情は知ったことではないので私は何も言いません。





でも、第三王子は悔しそうな表情で。


なんだか不憫に思えてしまう。