(一)この世界ごと愛したい








「マジで軽い。もっと別れを惜しんでほしかった。」


「……ハル、あの将印…。」


「…何だよ。」


「気持ちは分からんでもないけど、リンが知ったらビビるぞ?」




ハルが私に将印を渡した時、るうが驚いた理由。



私は所詮鳥籠の中の世界しか知らなかったので、世間での将印の意義を分かってはいなかった。





世間一般での将印の意味とは。


その将軍が、生涯愛する唯一の女性へ送る愛の証。





「ビビったついでに帰ってくればいいんだがな。」


「…やっぱマジだったのか?」


「お前はどこに拘ってんだよ。」


「いや、もしそうなら…。」




るうはバツが悪そうに、ハルから目を背ける。








「…今世は仕方ねえ。」


「……。」




「けど、来世では絶対モノにする。」




どこまでも強いハルを見て。


るうは憐れむのも、情けをかけるのも違うと。そう思ってその肩に手を置く。





「大刀の練習、付き合ってくれ。」


「…仕方ねえな。」




二人の私への想いに相違はない。


そんなハルの想いなど露知らず、私はいつまでも大好きな兄をただただ慕い続ける。


その背中を追いかけ続ける。








生まれて初めての、自由のという名の翼。


ハルとるうに見えたと言う、その大きな翼を背に私は空を駆ける。