何かって何だ。
というか、これって妹に渡すものだっけ?
普通は奥さんとか自分の子供とか、大切な人に渡して贅沢させるための物だと私は勝手に思っていた。
「私はいいって!お金に困ったらるうに頼むし!ハルがいつか大切な人ができた時に渡してあげて!」
「じゃあやっぱお前が持ってろ。」
「なんでそうなるの!?」
「過去にも未来にも、お前以上に大切なもんに俺は出会えない。」
な…。
なんでそんなことを言うんだ。
兄妹じゃなければそれはきっと、これ以上ない愛の台詞のようなことをサラッと言って退けたハル。
「幸か不幸か、お前の顔はあんま知られてねえし。わざわざ俺に楯突こうとする奴はこの国にはいねえ。」
「そうかもしれないけど。」
「他国でも多少の脅しにはなる。お前に手を出せば俺が黙ってねえって証だ。大人しくぶら下げとけ。」
「…私そんな脅しがいるほど弱そうに見える?」
ハルは大きな溜め息を吐く。
「やっぱ、そこまで深い意味までは知らねえか。」
「贅沢三昧の証でしょ?」
私の認識はその程度。
他にも、何か意味があるのか?
「…ま、いいか。」
「よくないよくない!教えてよー!」
「とりあえずお前の顔知ってる奴とか、俺の名にも動じない命知らずには効かねえから気を付けろ。」
「えー、気になるなー。」
るうも何も言わない。
言わないけど、この将印を見た時に少し驚いていたから。よっぽど重大な意味があるのだろうか。
「一応城出るまで隠しとけよ。」
「…もうなんか急に怖い物に思えてきたんだけど。」
「馬鹿。光栄に思え。」
光栄に…ねえ。
私はこの将印の付いた首飾りを、とりあえず明日持っていく荷物の中にしまった。

