「…色気ねえな。」
「いっ、色気は必要かな…?」
「いらん。覚えて帰って来んなよ。」
「…私に修得するのは難しそうだから、大丈夫だと思います。」
色気より血の気が勝ってしまいますので。
「るうもハルと仲良くね。」
「…たぶん無理。」
「え?」
少しだけ私を抱き締める力を緩めたるうが、私の部屋の入り口を指差す。
私はその指の先を追って見る。
「…また来たのかー。」
「また来たとは随分な言い様だなあ?」
鬼の血相でこちらを睨むハル。
自分の部屋に戻ったんじゃなかったのか!?
「ごめんごめん。」
「ルイ。さっさとリン離せ。」
ハルがあまりにも怒り狂っているので、るうは大人しく私を離す。
「なんで俺は追い返したくせにルイはここにいんだよ。」
「るうにもちゃんと戻るように言ったもんー。そんなハルはなんで戻って来たの?」
「…渡すの忘れてた。」
「何を?」
ハルは私に一つの箱を差し出した。
なんだろうと首を傾げつつ、その箱を受け取ってみた私。
「…首飾り?」
「……。」
「なんで私に?」
「…誕生日過ぎてるけど。それに二年間渡し損ねた分だ。」
渡せなかった分の、誕生日プレゼントらしい。
そんなの気にしなくてよかったのに。それを言うなら私だってハルに渡せてないのに。
私はハルがくれた、首飾りを改めて見ると、ゴールドのチェーンに通された紋章のような物に目が行く。
裏にはアレンデールの国紋。表には桜の花が描かれている。
「…お前はやっぱ知らねえか。」
「何が?」
「それ俺の将印。」
「しょ…。」
将印とは、その国の第一将の証。
将印一つでその国において、自由に過ごすことが出来るらしい。
なんせこの持ち主に逆らおうもんなら、第一将の怒りを買ってしまうという恐ろしい物。これを見せるだけで国中の人は大体のことを許さざるを得ないとかなんとか。
つまり、このアレンデール国内でこれを振り翳せば、好きな物は買えるし宿の寝泊まりも自由とか。
私にはそんな印象しかない。
元々王族の私達にはあっても不要な物なので今まで気にしたこともなかった。
「これ結構大事な物なんじゃないの?」
「いいから持ってろ。何かの役には立つだろ。」

