『ねえ、この前話したイグアート地方の話覚える?』
『雨が降らないって言ってた場所だよね。』
『そう。君とそこに行けば、何か解決策が見つかったりするのかな?』
そこへ行きたいと思ったのは、単純な好奇心と。
ほんの少しの正義感。
「雨を呼べるようになってみたい。」
「お前マジで何目指してんだよ。」
「…正義のヒーローとか?」
「やめとけ。不幸なんてその辺に溢れてんだからキリねえぞ。」
私だって全部救えるなんて思ってない。
逆に救えないものの方が、きっと多い。
「でも、理論上は可能なはずなんだよ。私は天候を読み取る時大体、気圧と湿度に注意する。海や川があって、あとは私が条件に適って気圧さえ下げれば…って。ハル、興味ないなら口出さないでよー。」
「何言ってるかさっぱり分からん。」
「…天候って面白いのにー。」
「俺が言いたいのは、あんまり深入りはするなってことだ。ずっとそこに居てやれるわけじゃねえんだろ。変に期待させる方が酷な時もある。」
それも、そうだけど。
ハルが正しいことは分かるけど。
「…鬼め。」
「お前のために言ってんだよ。」
「だろうね。」
「…分かってんなら、俺のいねえとこで傷付いてくれるなよ。」
助けたいと思ったものが助けられなくて。
守りたいと思ったものが守れなくて。
そう言った時、大体私は酷く落ち込む。そのことを誰よりも知っているハルが、そうならないように心配してくれているのはちゃんと理解してる。
ハルって本当に可愛くない。
そしてどこまでも私第一のその思考が最早心配だ。たまには自分のことを心配してほしいものだ。

