半分体内に戻した炎。
残りはまだまだ燃え盛り、一万の敵軍を覆っている。
「…もう、二度と来ないでよ。」
そう願うと同時に、無駄な殺生は嫌いな性分なので。
結局私は残った半分をまた操れないか模索している。余力はもしもの時のためにエゼルタ戦に…とも考えたけど。シオン将軍に限って一度退くと言ったならもう大丈夫かなと。
「…怒られ…ませんよーに。」
周囲の炎を全て消火し終えた私。
辺りを見渡すと、もう立っている兵は近くにはいない。遠くにエゼルタ軍の背中が見えるだけ。
しかしながら、厄介なことに。
「…大丈夫ですか?」
遠くで見学していたはずのシオン将軍が、私に再び迫り来る。
あーヤバい。今この人に本気で連れて帰られそうになっても、もう抵抗する力なんて私にはない。
レンタル生活なんて絶対に嫌だ。
「…っ。」
「興味深い力だな。」
シオン将軍の手が、私に伸びてくるのは分かっている。
避けなきゃいけない。逃げなきゃいけない。そんなことも分かっている。
でも、もう身体は何も言うことを聞いてくれない。
「リン!!!」
たぶん、真横から。
ふわりと私を包んだ温もりは、光の如く私を抱えてシオン将軍との距離を再び開く。
「……るう。」
「遅くなって悪い。」
来てくれるような気はしていた。
けど、来たら来たで少し驚いたのも事実。
あれだけ大丈夫だと言っておきながら、全力解放はしないと言っておきながら、結局この有り様の私の元に。
来ようと思った真意が気になるところだ。
「…エゼルタの、シオン将軍か。」
「どうも。」
「リンに用か?」
「特段邪魔がなければ連れ帰ろうかと思っただけです。」
サラッと怖いこと言うんだもんな、この人。
「リンはやれねえ。俺でよければ相手になるが、どうする。」
「…そうですね。」
シオン将軍は、本当に無駄なことが嫌いな人のはず。たぶんこの誘いには乗らないだろう。
るうが劣るなんて思ってないけど、やっぱりこの人は相当強いから出来れば本当にこのまま退いてほしいと言うのが本音だ。

