(一)この世界ごと愛したい




実は昔初めてこの人の戦を見た時、初めて戦を綺麗だと思った。


無駄がなく隙もない。エゼルタの大将は別の人だったけど、シオン将軍が大将だったなら正直アレンデールは負けていたのではないかとも思った。



…それくらい私は尊敬してる。



それと同時にこの人をどうしても好きにはなれない。





「その余力を少々まだ見てみたいので、少し離れて見学しています。」


「…鬼畜。」


「それだけ興味がある。」


「だから嬉しくないんだって。」




シオン将軍は、本当にエゼルタ兵を撤退させる。


そして本当に残された残る二国。先程の火薬で粗方人数は削ったとは言え。まだ凡そ一万はいる。




もう、瞳の色を変えてしまったので。



ここからは本当に私もいよいよ加減はできません。


るうにも止めとけって言われたのに。使うつもりなかったのに。




シオン将軍のせいだ!!!


これだけの指揮官が総大将だったなら、あの敵軍の対応の速さも頷ける。





「あんの鬼畜、次会ったら黒焦げにする。」



敵軍は待ってはくれず、直ぐにまた陣形を組み直して国境を越えようと試みる。




「自己責任だからね。」



私はここで力を全解放。



山を一つ包み込めるほどの莫大な炎が目の前に放たれる。


今回は不燃の制限を設けていないので、裏山での修行の時ほどではないと…信じたい。





「っ…あーもう。」



それでもやはり、気力は持っていかれそうになる。



もう充分だから力を抑えたいところなんだけど、この火龍さんがやはり中々に言うことを聞いてくれないので。


支配する炎の量を減らすために半分切り離す。本当は全部切り離してもいいんだけど、この国境付近全てを焼き尽くす訳にはいかないし。



近くには民家があり、生き物も少なからずいるだろうから。これ以上の被害は私の気持ちがしんどい。