悲しむ間もない私は、南の国境へ降り立つ。
自分で仕掛けた事とは言え、やはり憤る感情はあるため、ここでその憤りを爆発させるが如く。
私は己が炎を惜しむ事なく、南の軍一万に対して放つ。
「これがアレンデールの寵姫の魔法か!!!」
「くっ…進めん!!!」
寵姫だなんて、いつの話かと自嘲する。
「化け物め…!!!」
そうだね。
そう見えても仕方ない。
今の私はさぞ怖い顔をしているんだろう。
「これ以上進めば全滅します!!!」
「な…。これ程までに馬鹿げた力とは…。」
どうせ退くなら早くしてくれ。
私にはまだ東の連合軍を追い払う仕事が残っている。
どちらかと言えば本命は東。こんなところで体力をあまり使いたくはない。
「くっ…。撤退だ!!!」
一万の軍は初めから炎に臆したことが功を奏して、ほとんど無傷にも関わらず全軍撤退。
これは私にとって、有り難いことだった。
南の軍の背を見送り、また直ぐに東の国境へ向かう。
東の国境には火薬の罠を張ってもらっているので、少しは楽をさせてもらえると嬉しい。
さすがにこれだけ力を使うと消耗する。
「きっついなー…。」
体力的にも、精神的にも。
精神的なものは、やはりさっきのパルマの街の影響を引き摺っているのは明らか。
しかし泣き言を言っても仕方ないので。
私は迫り来る東の三国連合軍を前に、あまり殺させないでほしいと願いながら再び地に降りる。

