城門から出て飛んで行こうと考えている私は、まず城門を目指す。
「…こんな時は自分で起きんのかよ。」
後ろから呆れたような声が聞こえる。
二人して同じようなことばっかり言うんだから、嫌になっちゃうよ。
「るう、帰って来たらコーヒーよろしくねー。」
「…ハルに怒られたろ。」
「それはもう。ついさっき、るうと同じ嫌味言われたとこですー。」
「嫌味で悪かったな。」
ハルと違って、るうは特に引き留めるわけでもなく。ただ飄々といつも通り。
今までなら真っ先に止められたなー。
「ほどほどに頑張るつもりだけど、場合によっては助けに来てね。」
「…ふーん。」
「え、何?」
「んなこと初めて言われたなーと思って?」
…言われてみれば。
るうに面と向かって助けてなんて、言ったことは…なかったかもしれない。
「……。」
「言われなくても助けるけど。」
「うん?」
「俺が行くまで、持ち堪えろよ。」
もちろん頑張りますよ。
せっかく来てもらっても、手遅れだったんじゃるうに会わせる顔がない。
「ま、そんなことにならないようにしたいと思ってるけどねー。」
「無事なら何でもいい。」
「うん。じゃあ一足先に行ってくるよー。」
「ああ。」
私は再び城門を目指し、ふわりと舞い上がる。
パルマの街を目指して。
その背中を見つめるるうの目は、少し心配そうで。
でも優しくて。
「…頑張れ、リン。」
相棒としての信を置いた、強い目だった。

