翌朝。
決意した私の目覚めは早い。
朝日がほんのり顔を出しつつある。
隣にいるハルと、不意に目が合う。
「起きなきゃいいものを。こんな時ばっか早起きしやがって。」
「…力、借りてくね。」
私はハルにぎゅっと抱きついて、ハルの力を吸収する。
もちろん、そんな気がするだけ。
「…先に行って待ってる。」
「ああ。」
「夜ご飯の時間には戻るから。」
「ああ。」
もう、引き留めようとはしないハル。
ハルはやっぱり強い。
「世界中が敵になっても、俺はリンの味方だ。」
いつかも聞いた、そんな台詞に。
思わず私の顔が緩む。
ハルとアキトは、似てるけど少し違う。少し違うけど、その根本はたぶん同じ。
そういう芯が強い人は、本当に将軍に向いていると思う。
身支度を整え。
剣を持つ。
一息吐いて、顔を上げる。胸を張る。
「行って来るね。」
「…ああ。」
今日が終われば、今ここでの私のやるべきことはもうない。後は同じことを繰り返さないよう、出来るだけ早くこの国を去らねばならない。
そう考えるとやっぱり少し寂しいけど。
とりあえず無事に帰って来たら、またハルに甘えさせてもらおう。
そんなささやかな楽しみを胸に。
私は一人で部屋を出た。

