(一)この世界ごと愛したい





突然自分の財布を開く危険があることを聞かされた二人は、寝耳に水。



「せっかくだから、どの街よりも煌びやかに仕上げてあげてね。」


「おまっ、どんだけ金かかると思ってんだ!?」


「まあまあ。私もこれから地道に働いて返していくから。」


「働くって、お前外で仕事する気か!?」




働かざる者食うべからずです。


働きもせずに、外に出て私はどうやって生活すればいいんだ。





「楽しみだよね。何のお仕事しようかなー。」


「リンが…仕事…。」


「無理だ。絶対やめさせるべきだ。リンに仕事なんて出来るわけがねえ。」




ハルもるうも失礼しちゃうよ。


私だって、本気を出せば仕事の一つや二つできると思うんだよ。




「頑張って体で稼ぎます!!!」


「っ……。」


「おい、ハル!!!」



私の決意表明にショックで倒れたハル。


そんなハルを介抱するるう。




「リン、お仕事は大切だけど。ママも少し心配よ。遊びじゃないんだからね?」


「分かってる。少しの間は裕福な友達の家にお世話になる予定だし、仕事はもう少し世間勉強してからの話だから安心していいよー。」


「まあ、どんなお友達なの!?」


「将軍仲間だよ。ハルに良く似てる人ー。」


「え!?ハルに似てる男の人!?」



それはそうだ。


ハルに似てる女の人なんて、何か怖いよ。想像するだけで身震いするよ。




「それってリンにはかなり好条件なんじゃない?」


「条件?」


「…あら私ったらまた。ごめんなさい。なんでもないの!お友達と仲良くねっ!」




アキトが好条件って、何だったんだ?