そんな気持ちを知る由もない私は、我が道を突き進むのみ。
「…お待たせー。頭スッキリしたー。」
「リン、お前また髪の毛ちゃんと拭けって。」
「るうよろしくー。」
「ったく。」
お風呂上がりの私の髪を、るうがいつも通り丁寧に拭きあげてくれる。
それを怪訝そうに見るハル。
「…どんな気持ちで見たらいいのか分からんな。」
「何がー?」
「…こっちの話だ。」
ハルの複雑な心境も、私には伝わらず。
るうには伝わっているようだが、るうも特に気にする様子はない。
「とりあえず話の続きは飯食いながらだ。行くぞ。」
「…はーい。」
一瞬、食欲ないからいいと断ろうと思ったけど。ママにも話があったから仕方なく従うことにしました。
旅行帰りで疲れてるるうを休ませてあげたかったけど、たぶん諭したところで無駄だろうと思ったので。
三人で広間へ向かいます。
「あら、リン起きたの?」
「ママただいまー。おはようー。」
「旅行から帰って来るなりいなくなっちゃうんだから。心配したのよ?」
「ごめんね。」
確かに、帰ってきてすぐ賊が出たとかの騒ぎで帰ってきた挨拶も出来てなかったもんな。
心配かけてすみません!!!
「アルは?」
「今日は朝からずっと剣のお稽古で、疲れてもう寝ちゃったの。」
「アル頑張ってるねー。ハルもたまには付き合ってあげてよ?」
「俺は忙しいんだよ。」
それは分かってるけど。
アルもハルに稽古つけてもらえたら嬉しいだろうなと、私は思う。私も昔すごく嬉しかったし。
「私を探そうとする暇があるなら全然出来たよね。」
「…やればいいんだろ。」
次の機会では、アルの稽古に付き合うとハルが約束してくれたました。
…よかったね、アル。
「ハルそれでね。」
「話の続きが早えな。」
時間がないと言ったはずです。
「私は、鳥籠の中の姫だったから知らなかったの。世間には意外と情報が流れてるんだね。」
「鳥籠って…。嫌な言い方するようになったな、お前。」
「セザールで言われたんだよ。私が住む世界は鳥籠だって。昔と違って今はある程度弁えてるし、城に閉じ込めたことは別にいい。だけどお陰で今まで知らなかったことを今頃知ることになった。情報は一種の武器になる。」

