思ったよりハルが怒っているので、一度お互い冷静になろうと思います。
私がシャワーへ向かった後。
「…突拍子もねえ話だな。」
「俺に話があるって言う時は、大体悪い話だから聞きたくなかったんだ。」
結局国のためにその身を己の炎で焼きながら、進んでいこうとする私を想い、ハルは頭を抱える。
私だって、出来ることなら心配かけたくない。
「要はただ単にこの国を出たって、繋がりを疑われんのが嫌で。とことん嫌われ役を買って追い出された形に持って行きてえらしいが…。」
「そういや、街で自分が散々褒められてんの嫌そうに聞いてたな。」
「…あーもう嫌だ。」
「俺たちがどんなに心配したって、自由に羽ばたくことを知っちまったからな。俺にはもう、アイツを止められる気はしねえ。」
それはハルも感じている。
才は開花してしまった。
ハルとるうの想像を超える程、私の先を見通す目はきっと正しい。
…そんな私は、もう止まらないと。
「本格的に化けてきたなあ。」
「リンの戦況を読む目は年々鋭くなってる。」
「妹ながら末恐ろしい奴だ。」
私の成長を見守ってきた二人は、その才能の開花を嬉しく思いつつも。
少し寂しいような、怖いような、複雑な気持ちを感じていた。

