(一)この世界ごと愛したい




顔を見合わせるハルとるう。




「…部屋にいなかったか?」


「いないの。城中探したつもりなんだけど…。」


「俺らで探すから、心配すんな。」



ママを落ち着かせて城に戻したハル。


二人にとって、何より大事な私の行方が分からないという出来事。




「最後は部屋にいたよな…?」


「帰って来たばっかで遠くには行かねえはずだ。また裏山か?とりあえず軍の連中呼んで探させるか?」


「そうだな。虱潰しに探せば…って、お前何のための石だよ。」


「…あ、そうか。」




まだ石の存在に慣れてないるう。


とりあえず私を探すべく石の力を借りることになった。





「おいおい。城から出てんじゃねえか。裏山の方向でもないし。」


「どこ行ったんだアイツ。」


「とにかく行くぞ!!!」



戦いの疲れも吹っ飛び、光の先へ私を探して全力颯爽。





そしてパパのお墓の前で、小さく丸まって眠る私を発見し、安堵の息を漏らす。




「何もこんな夜に、親父の墓の前で寝なくていいだろうに。」


「…無事でよかった。」


「全くだ。無防備すぎんだよなあ。」


「そこもっと叱ってくれ。」


「あんまり言いすぎると俺が嫌われる可能性が出てくる。お前が言え。」


「俺の言うことなんか聞かねえって。」




ハルが私を抱える。


そして三人で城に戻り、ママは安心したようだ。






「とりあえず部屋に寝かせるか。」



再び私の部屋に戻ってきたるうと、私を抱えたハル。



ハルは私をベッドに下ろして、その横に座り。ただただ私の頭をよしよしと撫でている。




「…それで、念の為聞くが。」


「あ?」


「さっきの痣。まさか最後まで…何てことねえよな?」


「…ない……はずだ。」



歯切れの悪いるうの返答に、ハルの怒りが再燃する。




「はずってなんだ。」


「酒飲んだ勢いらしいから俺は何一つ覚えてねえ。けど、起きた時のリンの顔からして…そこまではないと…思ってる。」


「つまり、ここまで手付けんのは初めてじゃねえんだな?」


「…なんで。」



なんで分かったんだと。


るうが声を発した時、ハルは不気味に笑う。





「カマかけたつもりが当たりかよ。俺が寝てる間は随分好き放題じゃねえか。」


「…確かに好き放題しすぎた。俺だけじゃねえけど。」


「ああ!?」




ハルの咄嗟の大声で。


私はここでようやく薄っすら目を開ける。