ハルに話があったのに、もう完全にるうと斬り合う気満々で話何てとても出来そうにない状態。
私は一旦話をするのは諦めて、稽古場へ向かう二人を静かに見守った。
着いて行こうかとも思ったけど。
帰って来たらまず、私は会いたい人がいたので。とりあえずこの時間を使って会いに行こうと思う。
そこは、城から少しだけ離れた丘の上。
お花畑のように花びらが舞う、そんな場所。
「…久しぶり、パパ。」
色々ありすぎて、顔を出せていなかったパパのお墓。
城を出る前には顔を出さねばと密かに思っていた。
なんせ最後に会ったのは、城で変わり果てた姿を見つけたあの日以来。
「…仇は討ったよ。」
そんなこと、望んでなかったかもしれないけど。
「…火龍の力も目覚めたよ。」
こんなことも、きっと望んでなかったよね。
「パパの思い描いた通りに、進んであげられなくてごめんね。」
きっと何もかも違うよね。
寧ろ私は逆へ逆へと進んで行こうとしてるよね。
「…でも大丈夫だよ。私はパパの娘だもん。」
親バカで、過保護で、沢山甘やかしてくれて。
それでも時には厳しくて。
そんなパパが今でも大好きだよ。
絶対誰にも負けないから。まだまだ強くなってみせるから。
だからあんまり心配しないでね。
「安心して、眠ってて大丈夫だよ。」
グレイブさんにも会ったよ。
とても優しくていい人だったよ。
ハルとるうはよく喧嘩するけど、パパ達もそんな時があったのかな?
返事のないお墓の前で、私は一人座っていて。
とりとめのない言葉が、想いが、溢れ出る。
けど気付けば、パパに誘われるように私はその場で眠りについてしまった。
『…例え、どんな道を進もうと。大事で大事で仕方ない、たった一人の愛する娘だ。リンの未来は、この国の未来と共にある。迷わず進め。』
そんな声が、確かに聞こえた気がした。

