そんな私の言葉を聞いて、ハルはまたオーバーに落ち込んで見せる。
「大体私の石だって何回も言ってるのに。なんで勝手にハルの物になってるの?」
「……。」
「私の物を私が誰にあげたって問題ないよね?」
「……はい。」
まるで苦虫を噛み潰したような顔で、渋々納得したハル。
そんなハルに、私はようやく笑顔を向ける。
「るうから盗っちゃだめだよ?」
「…はい。」
「るうを怒ってもだめだからねー?」
「…はい。」
素直に聞き入れてくれてよかったです。
ということで、優雅なティータイムを過ごそうと思ったんですが。ハルはまた私にベッタリくっついて中々離れてはくれない。
しかしよく我慢出来たので。飴と鞭を使い分けて、ここは好きにさせてあげましょう。
「…旅行どうだった。」
「すっごく楽しかったよー。綺麗なところで、ご飯も美味しくて、色々勉強にもなった。」
「…石のことは置いといて。」
「うん?」
ハルは私を抱きしめたまま、るうをギロリと睨む。
「この痣はなんだ、ルイ。」
…あ。
例の事故で隠し続けていた痣。
かなり薄くなって来てたし、私もるうも終盤そんなこと気にする心境じゃなかったし。
注意を怠っていました。
「…あー。これは俺が悪いな。」
「るうは悪くないって。元を辿れば私が原因なんだし。」
「って言っても、ハルは納得しねえだろ。」
「そんなことないよ。ハルだって話せばきっと分かってくれる…よね?」
ハルから離れて、私はハルを見つめる。
不気味な笑顔を浮かべるハルは、るうに対してただ一言。言葉を投げた。
「…覚悟は出来てんだろうな?」
私から完全に離れたハルは、ふらりと立ち上がる。
「はぁ…。」
「ちょっと待って!」
「リン今はやめとけ。どうせこの馬鹿の頭一回冷やさねえと話何て出来ねえだろ。」
「…そうだけど。」
迷惑ばっかりかけてごめんよ、るう。

