(一)この世界ごと愛したい





「……。」


「……。」


「……。」




三者三様、それぞれ黙ります。






「…返せ。」



沈黙を破ったのはハル。


ハルが低い声でるうに返せと言う。




「私があげたの。るうは悪くないし、私はるうに持っててほしい。」


「ダメだ。俺が持ってる。」


「一週間旅行に行っただけなのに、石で探そうとしたってことでしょ?今後ハルと追いかけっこし続けるの私やだよ?」


「なんでだよ!会いたい時に会いに行って何が悪い!?」




やっぱり探そうとしたんだ…。


たった一週間で…。




「何でルイなんだよ。」


「お誕生日プレゼントにあげたの。」


「代わりの物を用意してやる。あの石はダメだ。」


「…もういい。」




あまりに埒が明かない問答に。


先に痺れを切らしたのは私。









「ハルが許してくれるまで、私ハルと口きかない。」


「なっ…!?」




私はコーヒーを美味しくいただく。



帰ってきたって感じするなー。


旅行先で飲むのと、城で飲むのと、また少し違うのは使っている水の問題なのだろうか。





「リン…?」


「……。」


「うっ…。リンー…。」


「……。」




大きな体を丸めて、明らかに落ち込むハル。


泣き落とそうとしたって無駄です。こうと決めたら私は動じません。




「…リン、なんか可哀想に見えてきた。」


「るうはハルに甘いよね。けど大丈夫だよ。私絶対死んでも口きかないから。」