私はすぐにるうに視線を送る。
今はその石を隠せと無言でメッセージを送る。
私たちは言葉がなくても大体通じ合えるものがあるので、るうはメッセージを受け取り小さく頷いた。
「絶対賊だ。盗賊だ。あの石はうちの家宝だ。何がなんでも見つけ出すから安心しろ。」
「…とりあえず、みんなご苦労様。城内に不審な人はいないから仕事に戻って大丈夫だよ。ありがとう。」
「おいリン。いなくても捜索隊編成するから勝手に解散させるな。」
「捜索隊もいらないから。」
私は兎にも角にも、賊退治のために走り回っている衛兵達をハルの制止を無視して通常業務に戻した。
そんな私をハルが怒る。
「ハル、ちょっといい?」
「それどころじゃねえよ。俺はあの石だけは絶対に諦めねえからな。」
一先ず、私の部屋にハルを招き入れる。
るうも一緒に来ていますが、私がコーヒーが飲みたいと言ったことを覚えていたから冷静に準備してくれています。
「…私が宝物庫から持ち出したの。」
「はあ!?」
「こんな騒ぎになるなら声掛けるべきだったね、ごめん。」
「ど、どこに…あの石は俺のだぞ!?」
うん、違うよね。
どちらかと言うと私のだよね。
「…あげた。」
「ああ!?誰に!?」
どうしようか。
ここでるうにあげたって言ったら、るうすごく怒られそうな気がするんだよなー。
「俺。」
思い悩む私を他所に。
コーヒーを私の前に置いたるうが自白。

