ハルを発見したので、私は声を掛けようとしたが。
同時に私を視界に捉えたハルの動き出しの方が早かった。
「リンっ!!!」
「えっ…ちょ、ハルっ…!?」
それはもう、窒息するかと思うほど。
私はハルに締め上げ…じゃなくて、抱き締められました。
「く、くるし…。」
「会いたかった!リンー!!!」
それより、今は賊の方が問題では…!?
「おい、状況どうなってる。」
「邪魔すんなルイ!俺のリンを掻っ攫っておきながら!お前はしばらくリンに近寄るな!!!」
「落ち着け。そのままだと酸欠になるぞ。」
「ああ!?」
仰る通りです。るう、助かります。
あまりの力で私はもう息も絶え絶えです。
「はっ…り、リン。すまん。」
「だ、大丈夫…何とか。るうありがと。」
るうの計らいで、どうにか窒息死を免れた私。
「そうだ。賊が入り込んでるかもしれねえから、リンはとりあえず外に出てろ。」
「かもって、直接見たんじゃないの?」
「見てねえ。いつ入り込んでたのかも分からねえけど、とにかく盗人がいたのは間違いねえ。」
「なにか盗まれちゃったの?」
この城に泥棒が入るなんて、あり得るだろうか。
結構守りは固いと思ってる。兵だってそれなりに強い人ばかりを配置しているはずだ。
「宝物庫から、リンの石が消えた。」
…賊はどうやら私のようです。

