せっかく抱えていただいたので、とりあえず飛び上がることにした私。


るうはもう空中散歩には慣れたもので、安定して飛べるので非常に助かります。




「…俺が距離感狂わせたせいだな。悪い。」


「えっ!?」



思った側から集中が乱れ、バランスがぐらりとズレる。


すぐに気を取り直して、気流を安定させるように頑張りました。




「危ねえな。」


「ちょ、変なこと言わないで!これ結構集中しないと二人分浮かせるの大変なんだって!!!」


「変なこと?」


「だ、だって…。るうが悪いわけ…ないのに。謝らないでよ。」




るうはどこか呆れたように、少し笑った。




「分かった。謝るのはやめる。」


「…そうしてください。」


「だからってリンが悪いわけねえからな。履き違えるなよ。」




この手の話は本当に難しいな。


つまり誰も悪くないということか。責任の所在もなく、時間の解決を待つのみ…かな。




「…るうは優しいから心配なんだよ。」


「奇遇だな。俺もお前に対して同じ気持ちだ。」


「やっぱいつも通りが正解なのかもねー。」


「だからそう言っただろ。」



そうでしたー。


じゃあもう遠慮はしませーん。





「飛ばしまーす。」


「は?」



私はとりあえずスピードをあげて、出来るだけ早く城を目指すことにしました。



ハルに、早く話したいことがあるんです。