るうはケジメだと言っていたので。
きっと、これが大事な線引きなんだろうな。
「…私は英雄としてこの国を旅立つわけにはいかないんだよね。」
「小難しいことをよく思いつくもんだな。」
「私天才だからね。」
「調子乗んな。」
私はこの国のためなら、悪名を背負っても構わないと思っている。
それを身内が許してくれるかどうかは疑問だが。
「こればっかりはハルに相談だなー。私一人ではどうこうできそうにないしなー。」
「そうしろ。」
街に出て知ったことは、流言の重要さ。
私のことだけにしたって、その話には尾鰭や背鰭がついていて。今や私はアレンデールの守護神みたいな印象が民にはあるらしい。
それではいくら追放してもらったとしても、自作自演丸出しで信憑性に欠けてしまうことを恐れている私。
「自作自演…か。」
「あ?」
「…いやー、なんでもない。るう、ここからもう飛んで行こうかー。」
「は?」
ちょっと、打開策を思いついたかも。
馬車を停めてもらい、御者さんにそのまま城を目指すように伝えると。快く承諾してくれて、ありがとうございますです。
「抱っこ…はだめ?」
「…はぁ。(こういうとこが可愛いんだよな。)」
るうがせっかく引いてくれている線を、私が打ち破るようで申し訳ない。
「だめなわけねーだろ。」
「っ!?」
思いの外、るうはあっさり私を抱き上げてくれる。
その私を抱く力が、あまりにも力強くて思わず驚いてしまった。
「変な気回すな。そしてお前は何も変わってくれるな。」
「は、はい。」

