とりあえず高台の麓まで飛んで来たものの。
日も落ちてしまったし、ここを上昇するのは流石に目立たないかなと不安になる。
「どうしようかな。」
「なにが?」
「なにがって…。」
私の悩みはるうには伝わらないようで。
仕方ない。最速でサクッと上がってしまうか。一瞬なら誰にも見つからないと願おう。
「るう、離さないでね。」
「…いいな、それ。もっかい言って。」
「真面目に言ってるんだけど。」
私は火力をかなり引き上げる。
かなりのスピードで上昇する感覚を、るうがまた楽しそうにしている。
…人の気も知らないで!!!
「はい終わりー。」
「え…。」
高台を追い越す高さに達した時、私は纏う炎を消す。
急降下する身体に、るうは若干バランスを崩すが離さないでと頼んだので。
私のことはぎゅっと抱いてくれているまま。
「よく出来ましたー。」
急降下し高台に落下する直前に、ふわりと足が地に着くように私はもう一度炎を放出する。
こうして、目的地に無事到着しました。
「…ここに何があるの?」
「ここには何も。」
「え!?何もないの!?」
一体何しに来たの!?
私は高台から周囲を見渡すと、小ぢんまりした街を一つ発見。でも特段なにもなく。
それならあの街に行く方がよかったのではないかと考える。
「わあ、るう見て!星綺麗!!!」
不意に空を見ると、何にも遮られることない星空が私の視界に映る。
今視界全部が星空で。私は大いに喜ぶ。
「るうは星が見たかったの?」
「俺がそんなメルヘンな頭に見えるか?」
「…じゃあるうはここで何がしたかったの?」
私は星空を見上げたまま、るうに聞く。
るうからの返事はないまま。
この空に、一筋の光が下から立ち昇る。
「え…。」

