しまったと。
後悔した時には遅い。
水は突然の加熱で膨張し、私は結局後方へ吹き飛ばされる。
「ぷはっ…。」
足のつく浅瀬に浮上した私。
その後、僅かな時間差で水面が大きな爆発を起こす。
水飛沫が飛び交うのが、また太陽に反射して眩しいこと眩しいこと。
「…綺麗。」
その大きな音に、別荘からも使用人たちが何事かと様子を見に来たが。
その内の一人がぽつりと呟いた。
私はこのキラキラ輝く水滴たちが舞う景色に、そう言ったのだと思ったけど。
どうやら皆さんは、この光の中で水面に佇む私を見てそう思ったようで。
周囲はしばらく誰も動けずにいた。
「…水の体積が膨張すること忘れてた。失敗失敗。」
湖から陸へ上がると。
角を生やしたるうが私へすぐに駆け寄る。
「失敗じゃねえよ!何してんだお前!!!」
「いやー実験に失敗は付き物だよ。でも全然深くて底が見えなかったのが残念ー。」
「さっさと拭け!風邪引いたらどうすんだ!?」
「もうー、るうは大袈裟だなー。」
私は同じく駆けつけてくれた使用人さんから、タオルを受け取り頭からゴシゴシと拭いていく。
けど、全身ずぶ濡れなので。
大人しくシャワーを浴びるために一度部屋に戻ることにしました。
「信じらんねえ。」
「だからごめんって。つい水底の状況が気になってさー。」
「飛び込むか普通。おまけになんだあの爆発。危ねえだろ。」
「…すみません。」
水深は恐らく体感でも相当あった。
たぶん下まで潜るのは無理。水中で使える懐中電灯とかあれば底が僅かでも見えたかもしれないけど。現状では厳しい。
故に、これ以上の調査は無理。
「はぁ…。」
「なんの溜め息だ。さっさと風呂入れ。」
「…はい。」

