(一)この世界ごと愛したい





私が起きるまで、るうはずっと私を抱きしめ続けてくれて。


そんな私が目覚めたのは昼前。




「…リン?」


「ん…?」




ぽかぽかするー。


なんだか落ち着く心地いい体温に、私は無意識に目を閉じたまま擦り寄る。




「ばっ…起きろ、リン!」


「うー…。」


「…普通に襲うぞ。」


「…っ!?」



反射的に私はようやく目を開く。




「お、おは…よ?」


「もう昼前だ。」


「…起きずにずっとここにいるのも珍しいね。」


「どうも離すのが惜しくてな。」



何を今更。


今までにもこんな状況あったろうに。




「なんで?」


「…今の格好。なにもかも危なくて動けないってのが本音。」


「え?」



私は未だるうの腕の中で、そっと自分の身体に目を向ける。




「〜〜〜っ!!!」



浴衣で寝てたの忘れてた!!!


それはもうはだけてはだけて。もう上も下も色々見えそうで見えないギリギリのライン。




「俺は悪くない。」


「とりあえず離して!向こう向いてて!」


「えー。」


「えーじゃない!!!」



素早く直せるところだけ浴衣を整えて。


るうを思いっきり突き飛ばした。




「いってー…。」


「るうの馬鹿!変態!!」



ベッドから転がり落ちたるうを、私は一睨みして。


早く着替えようと思い、服を取り出し着替えることにしました。



…しかし。




「なんなのこの服。」




ママのチョイスにしては珍しい黒い服。けど少し胸元開きすぎだし。やや大人っぽい服な気がする。



…もうなんでもいいか。


気にしたら負けだと思い、脱衣所で私はその服に袖を通してみたものの。