温泉とは。
こんなに素晴らしいものだったんだな。
「極楽浄土は、ここにあったのか。」
自然の中で、星空を見上げながらの入浴なんて初めての経験。露天風呂だから当然なんだろうけど。
私には、感動に値する出来事なんです。
「天国すぎるー。」
満点の星空を見上げて、私は顔が緩む。
綺麗だなー。気流で舞い上がったら一つくらい取れないかなー。
そんな無理に等しいことさえ考えてしまう。
どれくらい温泉で過ごしたのか分からないけど、段々と逆上せそうな感覚が近付いてくるので渋々上がる私。
「姫様、よろしければ浴衣を着付けましょうか?」
「あ、私また着替え持ってくるの忘れた。」
身の回りのことに関して学習能力がない私は、面目ないと思いながらも浴衣を着せてもらいました。
「あら、姫様…!」
「へ?」
女性の使用人さんが、浴衣を着せてくれる最中に突然顔を赤らめて驚く声をあげる。
「…あ。」
昨夜酔っ払ったるうが付けた痣のことを、すっかり忘れていた。
み、見られて…しまった…。
「こ、こ…これは…事故なんです!決して何もないです!」
「い、いえ!そんな!私こそ取り乱してすみません!大丈夫です!男女共に過ごせばこんなこともあります!!」
「ち…ちがっ…!本当に何もないんだって!!!」
二人で謎に顔を真っ赤に染めながら、あわあわと浴衣の着付けを終え。
私は逃げるように部屋へ戻ってきた。

