そんな話に花を開かせていたら、るうが随分とさっぱりした顔で温泉から戻ってきた。
よっぽど良いお湯だったんだなー。
「どこにいても、姫様は紛うことなきこの国の姫様です。迷わず進み続けて大丈夫だと、私は思います。心配せずともあなたの思想は父上によく似ていますから。」
「…ううん。たぶん、私とパパの思い描くことは少し違う気がしてる。」
「ほう。」
私はアレンデールがもちろん好きだし大切だし、何よりも慈しみ守るべきものだと思っている。
でも、セザールでも私を姫と呼び思いを馳せてくれる人がいることを知った。
たぶんそれはセザールだけじゃなくて。状況が違えばきっと、他の国でも同様のことが起こった可能性もあると思う。
「…国境を越えた先も、海を越えた先も、私はアレンデールという国を造ったこの世界を丸ごと全部、大事にしたいと思ってる。」
グレイブさんと、るうが目を見開き驚く。
「どうも私は、敵国に暮らす人さえ捨て置けないすごく面倒な性格らしいことを知ったからね。それを守れずに嘆くくらいなら、全てを守る道を探すよ。」
「何と…。この世界ごと、アレンデールを守るおつもりですか?」
「今は全然無理だし、アレンデールを第一に考えてるよ。でも、その果てしない道を探すために旅に出ようと思ったのも事実だから。私の伸び代はまだまだこれからだよー。」

