「姫様、お呼びでしょうか。」
「…お名前を聞いてなかったなと思って。」
部屋に来てくれた使用人頭のおじ様。
「自己紹介が遅れて申し訳ございません。私はグレイブといいます。」
「グレイブさんは、パパのご友人ですか?」
「ええ、昔からの付き合いで。今でいうハル様とルイ様のような関係性ですかね。」
「なるほど。火龍のことを話すほどパパはあなたを信頼していたんだね。」
ハルとるうのような関係。
分かりやすい例えで有り難いです。要するに、側近のような関係性だったってことか。
「どうして城を離れたの?」
「恥ずかしながら、私は昔から体が弱く。歳を重ねるにつれて父上に迷惑をかけることも屡々ありましたから。早々に引退させてもらったんです。」
「あ…ごめんなさい。お身体、今は大丈夫?」
「この地の空気は私に合っているのか、ここへ来てからはすこぶる調子がいいんです。それより姫様が私を呼ばれたのは、火龍の話ですか?」
はい。まさにその通りです。
私のまだ知らない火龍の歴史を、知っているなら教えてほしいなーと思ったんです。
「…さっき、森の中で祠を見つけたの。あれは先代の火龍が眠る祠に間違いない?」
「私の知っていることは姫様と大して変わりありませんよ。なんせ火龍とは稀有な存在。その情報はあまり出回っていませんから。
しかしあの祠は…確かにアレンデールの書記には記されていなかった。私も初めて見た時は驚きました。」
「…災いを齎す力。不幸を呼び寄せ、憎しみの連鎖を繰り返させる。そんな力だと私は書記で知ったんだけど。」

