(一)この世界ごと愛したい




暗くなってきたので別荘に戻ることになり。


まだお腹はすかないけど、温泉が待っていることもあり夕食を先にいただくことにしました。




「美味しそうー。」


「だな。」



使用人さんたちが続々と料理を運んでくれる。



「あ、お酒はもういらないので!」


「かしこまりました。」



危ない危ない。


大事なことを伝え損ねるところだった。


昨日みたいなハプニングはごめんだ。私の気持ちがいくつあっても足りない。




「では、また食事が終わる頃に参ります。ごゆっくりどうぞ。」




使用人さんは食事の支度が終わると一礼して退室。


もう徹底して二人っきりにしてくれるね!?そんなことしなくていいのにね!?




「…昨日も思ったけど料理のレベル高えよな。」


「うん。全部美味しいね!」


「珍しい調味料でもあんのか…?」


「私お料理に関してはさっぱり。未知すぎて中々探究心も沸かないんだよねー。」




戦術、地形、歴史、天候とか。


所謂戦に関わりがありそうなことには溢れんばかりの好奇心が発動するんだけど。



一般的に淑女が学ぶだろう、お茶とか、お料理とか、手芸、踊りや音楽とか。そう言ったことには見向きもしなかったからなー。




「お前が今更料理なんてしようもんなら、雨どころかいくら夏でも雪が降る。」


「そこまで言わなくても…。でも雨かー…。」


「え、まさか雨降んのか?」


「この旅行中は降らないよ。その後もしばらくは良いお天気だよー。」




雨については、私は少し気になることがある。


でもそれは城を出た後でいいかなー。



城を出たら自分で好きな場所で好きなことができるし学べるしね。