(一)この世界ごと愛したい





「遅かったねー。」


「お前が使い方ちゃんと説明しねえからだろ。」


「要領は覚えた?」


「たぶんな。」



練習も出来てよかったですー。




「これでもし私が東南での戦いで戻らなかったら探しに来られるねー。」


「戻らねえつもりか?」


「万が一の話だよ。私に限って読み違えることはないだろうけど、この力を解放するのは私もまだ慣れてないから。倒れてたら拾いに来てねー。」


「…けど便利な石だ。休みもらったらすぐ行こう。」




休みの度に私を探すつもりか!?休みは旅行のために溜めておくんじゃなかったのか!?



そして、ハルがそんなにるうを休ませるか、かなり微妙な気がするんですが…。


兄がいつもすみません。





「…ハルとちゃんと相談してね。」


「ああ。」


「あとハルたぶんその石、中々諦めないと思うから盗られないように頑張って。」


「ああ?」



説得は頑張るつもりだけど。



ハルの私への愛情を舐めちゃいけない。


私に会いたい気持ちが高まれば、寝込み襲って石を奪うことも容易に想像できる。




「まだ私が持ち出したことはバレてないし、ハル忘れてるかもしれないから!石の存在は知ってるはずだけど、思い出すまでは隠しててね!」


「思い出したら俺がキレられんのか…。」


「城を出るまでにはちゃんと話はしておくから大丈夫だよ!たぶん!!」


「たぶんか…。」