私は森の中で、一際大きな木の上にいる。
昔から木登りが大好きでよく登ったことを思い出しながら、るうの到着を待つ。
私を想い石を握れば、こうして私へとその光を向ける石。
「…ハルは怒るだろうなー。」
きっと、私が城を出た後。
その石を持っていようと考えていたんじゃなかろうかと思う。
私もハルに渡すつもりだったんだけど。
実際のところ。
城をあまり離れてほしくないハルより、るうが持っててくれる方がいいかなって思った。ハルに持たせるともうずっと追いかけ回されそうだし。
「…あ。」
聞き慣れたるうの足音が聞こえる。
まあ、るうにこの石を渡したのは、そんなごちゃごちゃした考えとは別で…。
たぶん、きっと。
「…リン。」
私を見つけて、安心したように笑う。
そんなるうの顔が、見たかっただけなのかもしれない。

