(一)この世界ごと愛したい




私は森の中で、一際大きな木の上にいる。


昔から木登りが大好きでよく登ったことを思い出しながら、るうの到着を待つ。



私を想い石を握れば、こうして私へとその光を向ける石。






「…ハルは怒るだろうなー。」



きっと、私が城を出た後。


その石を持っていようと考えていたんじゃなかろうかと思う。



私もハルに渡すつもりだったんだけど。



実際のところ。


城をあまり離れてほしくないハルより、るうが持っててくれる方がいいかなって思った。ハルに持たせるともうずっと追いかけ回されそうだし。





「…あ。」



聞き慣れたるうの足音が聞こえる。



まあ、るうにこの石を渡したのは、そんなごちゃごちゃした考えとは別で…。




たぶん、きっと。







「…リン。」




私を見つけて、安心したように笑う。



そんなるうの顔が、見たかっただけなのかもしれない。