部屋に取り残されたるう。
「…意味が分からん。」
私が森へ入って、少し時間は経ったけど。
その間も石を握り締めてはいるものの、石は全く何の反応も示さない。
「とりあえず、森に行くか…?」
うんともすんとも言わない石に首を傾げる。
五分は余裕で経過しているため、るうは建物から出てみることにした。
「追いかけろって言われても。」
この森は意外と広い。
私が本気で身を潜めているなら、普通に探せば日も落ちてきている現状では中々難しい。
るうはとりあえずもう一度石を握る。
「かくれんぼが始まったようですね。」
「…ああ、この森に隠れたらしい。」
先程のおじ様がるうに声を掛ける。
「石はどうですか?」
「特に変わりはないな。」
「おや、姫様はなんと説明を?」
「真面目に握ってろって。」
それを聞いたおじ様は思わず笑ってしまう。
おじ様はきっと、パパがこの石を見せた時にその使い方まで知ったんだろう。
もしかしたら試したこともあるのかもしれない。
「姫様はあなたのことを余程信頼しているんですね。」
「え?」
「その石を握ったまま、姫様のことを想ってみてください。」
るうはとりあえず言われた通りにやってみる。
刹那。
首元の石が赤い光を帯びる。
「光が…方向を示してる…?」
「その石は火龍に反応し、その居場所を伝えることが出来る石です。その光の先に、姫様はいらっしゃいますよ。」
「…なるほどな。」
「説明せずとも、あなたは常に姫様を想ってくれると…信じているんでしょうね。」
だから真面目にやれって言ったんです。
るうはおじ様にお礼を伝え、光の指し示す方へ歩みを進める。

