(一)この世界ごと愛したい




おじ様は驚いたように私を見る。




「この石の使用方法までご存知でしたか。」


「城にある文献は全部目を通しちゃったからねー。じゃあるう、私とかくれんぼしよっかー。」




るうは意味が分からないという顔で私を見る。




「姫様は、陛下の想像を遥かに超えていきますね。」


「…パパの望む形ではなかっただろうけどね。私は私のやり方でこの国を守っていこうと思ってるから心配しないで?」


「ええ。では、夕食の件は伝えておきますので、どうぞごゆっくりお過ごしください。」




おじ様が部屋を出て行ったと同時に、るうは私に説明を求める。




「かくれんぼってなんだ。それよりそんな大事な石なら余計俺には受け取れねえよ。」


「国宝とは言え私の石だもーん。とりあえずその石握ってみて?」


「握る?」




るうが首元の石をとりあえず握る。






シーン…。


と音がしそうなほど何も起きません。






「…ちょっと真面目にやってよ。」


「真面目ってなんだよ!?」


「…やっぱ距離の問題かな。じゃあ私森に入ってみるから、五分後に追いかけてきてね。」




私はそう言って、窓から飛び降りる。


るうが驚いて何か叫んでいたけど、私は器用に少量の炎を操りふわりと着地。




そして森の中に隠れることにしました。