「そのために俺を修行に付き合わせたんだろ。」
「お見通しすぎて嫌だなー。」
「だったら俺が行ってもなんの役にも立たねえよ。」
「…戦じゃないからね。」
今回は。
そしてこれからは。
戦ではなく単なる殺戮。
「でもるうも気を付けてね。」
「あ?」
「均衡を崩せば世界は大きく動き出す。私が城を出ればいくらかマシだとしても、それでも私との繋がりを疑う国はゼロにはならないだろうしねー。」
「ハルがいれば問題ねえだろ。」
それはそうなんだけど。
私がアレンデールの足枷になるわけにはいかないから、ちゃんと気を付けなきゃなー。
「でもあの修行の力は流石にやめた方がいい。」
「…やっぱりそう思う?」
「ああ。使い終わってぶっ倒れる力なんて、危険すぎる。側には誰もいねえの忘れんなよ?」
「私もそれは思ったんだよー。だからわざわざ罠まで仕掛けてもらうことにしたの。後は瞳の色変えなくても、通常モードで駆逐できるのではないかと考えてます!」
修行に付き合わせといて申し訳ないけど、実践で使うにはまだ少し心許ない。
私の考えを述べていると、部屋のドアがコンコンと音を鳴らす。
私がどうぞと返事をすると使用人頭のおじ様が現れた。
「ご夕食の後に温泉に行かれるとのことでしたが、夕食のお時間を少し後ろにずらしましょうか?」
「そうだねー。さっきお昼食べたとこだから、そうしてくれると嬉しいかな。」
「…おや?」
おじ様が、るうを見て動きを止めた。
「これは懐かしい。ルイ様、その石は火龍の輝石でございますね。」
「…この石のことか?」
「ええ。その石は姫様が生まれた際にその手に握って生まれて来たという、奇跡の石です。昔前国王陛下に見せていただいたのを思い出します。」
やっぱりそうか。
火龍を祀る祠があるくらいだから、何か知ってるんだろうとは思っていたけど。
この人パパのお友達か何かかな。
「おいリン、聞いてねえぞ。」
「…あーあ。城に戻るまで内緒にしようと思ってたのになー。」
「それは差し出がましいことをしました。申し訳ございません。」
「いいのいいの。丁度いいから石の力ついでに試してみようかー。」

