(一)この世界ごと愛したい





座ったまま寝てしまった私は、熟睡することはなく。


数時間で目を覚ます。充分熟睡でした。




「…ん?」



いけないいけない。


思わず寝てしまったと目を覚まして、膝の上のるうを見ると既に目が開いている。




「るう起きてたの!?」


「ついさっきな。」


「起こしてくれたらよかったのにー。」


「…わり。」



るうは謝りはするものの、動く気配はない。




「…?」


「ハルの言う通りだった。」


「良い夢だった?」


「…ああ。目覚めるのが嫌になるくらい。」



どんな夢だったのか気になるじゃん。


私はそんなるうに微笑んで、それはよかったと伝える。




するとそんな私の顔にるうが手を伸ばす。




「ん?」


「…綺麗だな。」


「え?」


「…夢の中と同じだ。」




私の夢だったの!?


それで目覚めたくないって、一体私は夢の中で何をしてあげたんだろう。





「明日も頼む。」


「え…。」


「城に戻ったらハルに邪魔されるから。」




明日もかー。


朝から湖を探索すれば、お昼寝して夜にまた出掛けたら予定としては滞りない…のか。




それにるうのせっかくの休みだし。


珍しく望みがあるのなら叶えてあげようか。




「…うん、いいよ。」


「よし。」


「っちょっと!!」




るうが私のお腹に顔を埋める。


くすぐったいです。




「休みって大事だな。」


「そりゃそうだよ。ハルに言っといてあげるから、これからはちゃんと休んでね。」


「お前がいねえなら意味ねえし。帰ってきた時にまた旅行いけるように休み溜めとく。」


「…るうが元気でいてくれるなら、それでいっか。」



そんなるうは未だに起き上がろうとはせず。




「そろそろ起きませんか?」


「嫌だ。」


「…いつもと逆だなー。」




よっぽど膝枕好きなんだねー。


今までハルにしかしてなくてごめんよー。