(一)この世界ごと愛したい





「ねえねえ、明日はどうする?」


「明日は…夜に行きたいとこがある。」


「え、どこ!?」


「…秘密。」




気になるよー。


るうの行きたいとこってどこ!?



この欲のないるうが行きたがる場所なんて、どんなところだろうと。考えてみるけど全然分からない。




「今更だけど、私るうのことよく知らないのかもしれない。全然読めない。全然わかんない。」


「…案外単純なんだけどな。」


「え?」


「俺の求めるものなんて昔から何も変わらない。」




るうの、求めるもの。



欲しいものも特になくて。


買い物に行かせても、欲しいものが見つからなくて何も買わずに帰ってくる。


旅行に行くってなっても、行きたい場所も特に浮かばない。




そんなるうが、求めるもの…?





「それが、明日行きたい場所と関係あるの?」


「…たぶんな。」


「え、たぶん?」




もっと分からない。


なんだろう。森へは今日行ったし。温泉は今日行くんだし。湖には大して興味なさそうだったよな。




「明日になれば分かるだろ。」


「じゃあ今からどうする?」


「…お前は何したい?」


「んー、とりあえず散歩?」




食後の運動も兼ねてと。


提案してみましたが。





「また歩くのかよ。」


「えー。じゃあるうは何したいのー?」


「昼寝。」


「…旅行来てるのに、昼寝か。」