結局かなりの時間を森の探索に取られてしまい、もうお昼も回ってしまっている。
それでも大興奮の私は、るうの迷惑も考えずに連れ回す。
「すごい!楽しい!!!」
「よかったな。」
「ずっとここにいたいかもしれない!!!」
「…マジで?」
それくらい私には新発見ばかり。
普段城の中で過ごしていたもので、もうこんな自然の中いられることがこれ以上なく嬉しい。
「…王族として、姫としてこの国にいるのに。実は私が誰よりもこの国を知らないなんて、変な話だよね。」
「……。」
「そんな立場を捨ててようやく私はこの国と向き合うことが出来るわけで。まだ実感は沸かないけど、それはそれで楽しみだなー。」
「…そうか。」
知らない、分からないなんて。
王族のくせに、そんな情けない話はないよね。
後は旅行の後に南東の敵さえ片付ければ私の役目は終わりだし。その後は、自由気ままに世界を股にかけて旅をしてみたい。
「…城を出たら、どうすんだ?」
「んー。行きたい場所は実は色々あるんだよねー。」
「いつ帰ってくる?」
「まだ行ってもないのに帰ってくる時の話するの!?」
るうはむすっとして、悪いかと言わんばかりに偉そうな態度だ。
「…ハルには言って行けよ。うるせえから。」
「残念ながら私にも先が読めないから、ハルにも言えないよー。それにるうはその気になればいつでも私を見つけられると思う。」
「どこにいるかも分かんねえのに?」
「うん。たぶんね。」
寧ろこの世でどこにいるか分からない私を探し出せるのは、るうだけかもしれない。
…もちろんたまには帰るつもりだけども。

