(一)この世界ごと愛したい





「だから私も忘れる。あれは事故です。」


「…いや…俺は結局お前に何を…。」


「い、言えるわけないじゃん!るうの馬鹿!!」


「…ごめんなさい。」



兎にも角にも。


お互いにこの件は忘れましょうという話になり、私たちは少し落ち着かない気持ちで朝のティータイムを過ごしました。





「……。」


「…あんまり見ないで。」


「…悪い。でも何とか隠さねえと、まるで俺が節操なしみてえじゃねえか。」


「城に帰る頃には消えてることを願います。私ハルに怒られるの嫌だよー。」




考えただけでもめんどくさい!!!




「リンなんてまだいい。俺はたぶん木っ端微塵だ。」


「何とか隠そう。」


「…ところで俺別に変なこと言ってなかったよな?」


「変なこ…と。」




ひたすら私の名前を呼び続けて。




『…好きだ。』



と。


色っぽく囁かれた気がします。






「〜っ!!」


「…何かは言ったんだな。」


「べ、別に…言ってたことは…普段のるうとあんまり変わらない気がした…と思う。」


「はぁ…。」




私も溜め息吐きたい。




好きだなんて。


セザールにいた時から今日まで、何回か言われてるのに。やっぱり慣れない。


それに昨日は余計…雰囲気も相まって私の記憶に刻まれる。





思い出すだけでも胸が締め付けられる。





「とにかく時間勿体ない!探索に行こう!!」


「…ああ。」




私はるうと協力して、荷物の中に何か隠せるものはないかと探し。オシャレなスカーフがあったので、違和感なきようにるうに巻いてもらった。



よし!応急処置はこれでいい!!