またまた、そーっと部屋に入る。


段々と空が明るくなってきた。





「…あれ?」




さっきるうが寝ていたソファーには今は誰もいない。


起きたのかなと思い、私は部屋の中を探そうと思ったら寝室からバタバタとるうが出てきた。




「るうおはよ。」


「リン悪かった!!!」


「…へ?」




挨拶したら全力で謝罪された。




「ど、どしたの?」


「…怒って帰ったのかと思った。」


「まだ行ってもないのに帰らないよー。また早朝から出発だって聞いてたし、取りに行けなかったらやだなーと思って。」




私はさっきのネックレスを、るうに渡す。




「お誕生日おめでとう…は言ったね。プレゼント遅くなってごめん。」


「この石が前言ってた国宝か…?」


「そうだよー。」


「…リンの瞳と、同じ色だな。」




確かにそうだねー。


たぶん普通の人からすれば、価値はないんじゃないかなと思うけど。




そうじゃない人は、きっと欲しがるだろう。





「まさに私の石だからね。」


「え?」


「…そのうち分かるよ。」




火龍と対になる石。


私と離れて初めて意味を持つ石。




「本当はハルにあげようと思ってたんだけどね。」


「…妥協か。」


「卑屈だねー。るうに持っててほしいと思ったからあげたんですー。昨日あげるのやめようかなって一瞬思ったけど。」


「だから謝ったじゃねえか。」




開き直るのが全部早くない!?





「…これ、ありがとな。あと風呂も。」


「あ、お風呂も私準備したまま忘れてたっ!」


「有り難くゆっくりしてた。」


「ほんと!?」



るうをゆっくりさせてあげられたなら、本当によかった。


それがこの旅の本来の目的だし。




「よかったー…。」


「俺に気を回さなくていいんだよ。」


「お風呂入る前に休みだって言われたし、何かしなきゃって思ったんだけどねー。なんか思わぬところから矢が飛んできた気分だったー。」


「だからごめんって!!」




そんなやり取りをしつつも。


私たちは早速宿を出る準備を整えて、御者さんを呼んでまた荷物を積んでもらい。



無事にこの街から再出発しました。