(一)この世界ごと愛したい





驚いた顔のるう。


そして隣の女の子。





「…るうは私と旅行中なの、ごめんね?」


「え、あ…。」



女の子は恐る恐るるうの腕を離してくれたので、私はそのままるうを引っ張って女の子たちの群れから脱出。





「……。」


「…おい。」


「なにー?」




とりあえず暗くなってきたし、宿に向かうことにした私は宿の方へ足を進める。


るうの手はしっかり握ったまま。





「どこ行ってたんだよ。」


「…助けるんじゃなかったな。」


「ああ?」


「ちょっと一人で歩いてただけ。心配かけてごめんね。」




自分のことは棚に上げといて。


とも思ったけど、探してくれようとしてたのは本当だろうから素直に謝りました。




「…なんで機嫌悪いんだよ。」


「え?私?」


「じゃなきゃ俺のとこにわざわざ来て助けるか?お前なら一人でその間自由にしたいからほっとくだろ?」


「……。」




それも確かに考えた。


正直、ラッキーだと思った。




でも…。





「…最初で最後だって言われたし。」


「……。」


「だったら私一人が楽しくてもだめだよ。」


「…リン。」




るうは、私の握る手を握り返した手に力を込めて立ち止まる。


なので、必然的に私の足も止まる。








「…それに、今はまだ…私のだよ。」


「え?」





「…私のるうだよ。」