(一)この世界ごと愛したい





「…え?」


徐ろに私へ、見つけた本を差し出す。




「これじゃなかった?」


「あ…。」




その本は、私が取ろうとした弾みで雪崩に巻き込まれた本だった。



人を馬鹿とか暴馬とか散々言ってくれたくせに。





…調子が狂う。





「……ありがとう…ございます。」


「別に。俺は用は済んでるんでこれで。」


「はい。」




嵐のように現れて、爽やかに出て行った。





「まじで怪我ねえか?」


「全然大丈夫。ごめんね、心配かけて。」


「無事ならいい。」




るうも一安心したように溜め息を吐いた。


それにしても、第三王子も本読むんだな。どんな本読むだろう。




「よし!とにかく、他の本も見よう!」


「ここ本の整理も全然されてねえみたいだから、さっきみたいなことにならないように気を付けろ?」


「うん!」



他の国の本をこんなに沢山読めるなんて!


知識の山だ!素晴らしい!!!