(一)この世界ごと愛したい




好きにしていい。言いたいことは言っていいと。


そう言ったらこうなるのか…。




しかし私よ。心を広く持て。


るうは今日お休みで、私のために旅行を計画してくれたんだから。






「ったく、すぐホイホイついていこうとしやがって。」


「……。」




カッチーンです。



私はもう無言で。るうが背中を向けた瞬間にフェイドアウトしました。この場を離れました。



…だって腹立つー!!!





「あー、せっかくの旅行なんだから楽しまなきゃ損なのに。」



るうはピリピリしてるんだもんなー。



ふと上を見ると、ここに来た時に一番に目に入った時計台が視界に映る。




「…登ってみたいな。」



そう思い立った私は時計台を目指す。


そして目の前まで来ると、さらに大きく見える時計台を前に私は好奇心が止まらない。




「…ここかな。」



中に入れるようになっていそうなドアがあったので、私はしれっと入る。


怒られたら後で謝ろう。



そして中の階段をひたすら登ると、また一つのドアがあるのでそのドアを開ける。





「うわあ…!」



まさに景色が一望出来るって感じ。


街全体を見渡せる。



夕焼け空が黒く染まりつつある風景さえ綺麗で、私は言葉を失ってしまう。