(一)この世界ごと愛したい




「キャー!素敵!!」


「あの子羨ましいー!!!」



主に女性客達が黄色い歓声をあげる。


そうだよね。るうはカッコいいし女性人気は今も変わってないなー。




しかし、この状況は…。




「こ、こんなとこで何してんの!?」


「こんなとこじゃなきゃいいとも取れるけど大丈夫か?」


「だっ…大丈夫じゃない!!!」



あまりの公開処刑に私は居た堪れなくなり、足早にお店を退散。


もっと色んな話が聞きたかったのに!!!




「るうの馬鹿。」


「…誰が馬鹿だ。」



支払いを終えたるうが店から出てきた。


私の愚痴はしっかり聞こえたようで、それでもケロッと痛くも痒くもないみたいな顔をしている。




「…るうは恥じらいを持つべきだと思う。」


「お前に言われる日が来るとは思わなかった。」


「どういう意味!?」


「そのまんま。」




まるで私が恥じらいがないみたいな言い方だな!?



失礼しちゃうよ。




「お前が誰彼構わず愛想振り撒くから、変なのが寄ってくんだよ。」


「…振り撒いてないし。るうだって人のこと言えないじゃん。」


「俺は他意はない。」


「私だってないけど!?」




なーんか。


この旅行、幸先不安なんですけど。