「姫様と言えば、聞いたか?セザールに輿入れしたように見せかけて見事に陛下の敵討ちに成功したって話!!しかも魔法が使えるらしいぞ!!」
「へえ、姫様は魔法使いだったのか。」
「それが強いのなんのって。戦神とはいえ女の子なんだから危ねえことはあんまりせずに平和に過ごしてほしいもんだぜ。」
「全くその通りだ。」
何故か、この食堂のお客さん達と気が合うるうは完全に和気藹々と仲良くなってしまっている。
楽しそうでいいんだけど。
自分の話をこんなに公に聞くことないから、私は少し恥ずかしい気もする。
「兄ちゃんたち、この辺では見かけねえけど旅の人かい?」
「今旅行中なんだ。」
「こんな可愛い彼女と旅行か!熱いねえ!」
「まあな。」
サラッとるうが肯定するけども。
熱くはないし彼女じゃないし、色々間違ってるんですけどねー。
そんなことを話していると、食事が届く。
それだけのことに目を輝かせる私を見て、るうが呆れている。
「落ち着けよ。」
「うん!」
食事をペロリと食べて、満足な私。
「宿に戻るか?」
「えーもう少し遊びたい。」
「…明日も結構疲れるぞ?」
「私は大丈夫!るうは戻ってていいよ!」
私は一人でも遊びに行きたいことを伝えると、るうに睨まれる。
「じゃあ嬢ちゃん俺と遊ぼうぜっ!」
「いやいや俺と!!」
食堂のお客さん達は愉快な人が多くて、私に遊ぼうと声をかけてくれる。
確かに、この辺に詳しい人がいたら色々教えてもらえるのかもしれないと。私が気持ちが一瞬わくわくの方へ揺らいだ時。
「やらねーよ。」
るうがそう言って、私を腕の中に閉じ込める。

