(一)この世界ごと愛したい




話がついたので店の外に出ると。


機嫌の悪そうなるうが私を睨む。あのネックレスそんなに大事にしてたのね。




「お前どんな装飾する気だ。」


「味気ないネックレスに一手間加えようと思って。大丈夫だよ、大体はそのまま戻ってくるから。」


「…不安だ。」



るうの不安は全て無視して、歩き出す。


私としてはもう少し街を歩きたい。けど、るうはどうだろうか。疲れてるかな?




「腹減ったー。」


「確かに。そういえば朝ごはん食べずに出発して、ここまで来ちゃったねー。」


「…飯でも食いに行くか?」


「行く!!!」




うわー!外のお店でご飯だー!


旅行とは本当に素晴らしいものだ!!!




「って言っても、俺もこの街初めてだし良い店知らねえんだよな。」


「見てー!丁度食べ物屋さんあるよー!」


「…ま、どこでもいいか。」



一先ず大衆食堂のような、良い意味で庶民的な店に入ってみた。


私は既にわくわくが止まりません。




「兄ちゃん!可愛い子連れてんなあ!」


「うわ!マジだ!すげー可愛い!」




店に入るや否や、絡まれることもありますが。


私たちは適当に注文を済ませてご飯を待つ。




「お兄さんも男前だねえ!」


「本当本当。綺麗な顔が二つ並んで、美男美女カップルだな!」




か、カップル…。


今まで恋愛脳のママの感覚が異常だと思っていたけど、異常なのは私の方だったのかと気付かされる。


世間では、なんでも色恋沙汰と結びつけたがるのが定石のようだ。




「あんま見んなよ、リンが減る。」


「リン?リンって言やあ、このアレンデールの姫様と同じ名前だけど…まさかな!こんなむさ苦しい街に姫様は来ねえか!!」




…来ちゃってるけど。なんかごめんなさい。