(一)この世界ごと愛したい




「…どうした?」


「…うーん。」


「お前装飾品なんて興味あったか?」



それがないんですよね、私は。


そんなるうをチラッと見ると、いつも付けているハルにもらったというネックレスが目に入った。




「これだ。」


「は?」


「るう、そのネックレス貸して!」


「…何する気だ?」


「可愛くする。」


「するな。」



嫌がるるうからネックレスを奪い取り、るうは外で待っておくように伝えて私はお店の人に声をかける。




「すみません、このネックレスに加工して宝石付けたり出来ます?」


「ああ、出来るよ。嬢ちゃん表の彼にプレゼントかい?」


「そうなのー。渡したいのは宝石の方なんだけど、そのまま渡すと失くしそうだから。」


「こんな可愛い嬢ちゃんに愛されて、なんて幸せ者の彼氏だ。若いっていいねえ。」




私が、るうを愛し…!?


なんかとんでもない勘違いをさせてしまっているが、この際もういいか。




「宝石の方はどれだい?」


「あ、うん。これなんだけど…。」


「ほうー、見たことない石だ。」


「明日にはこの街を離れるんだけど、間に合うかな?」




職人のおじさんは考える。


無理を言っているのは百も承知だ。最悪避暑地からの帰りにここに立ち寄ってもいいんだけど、帰りがどういうルートになるか分からないし。



不安そうな私に、おじさんはニッと笑う。




「仕方ねえ。可愛い嬢ちゃんのためだ!徹夜で頑張るかっ!」


「ほんと!?お金これで足りる!?」




私はママが密かに馬車に忍ばせてくれていた、私のお小遣いを全ておじさんに渡す。




「はあ!?」


「え、足りない?」


「嬢ちゃん金持ちの家の子か!けど、流石に多すぎるって!」


「いいのいいの。徹夜の手間賃も兼ねて!どうせ私他にお金使えそうにないから!」




金持ちの家の子なんで!大丈夫です!!!




「引き受けてくれてありがとう!じゃあ明日の朝また来るねー!」


「任せとけ!」